有効な回答を引き出すために「何を」「誰に」「どう」聞くかを考える

調査により、Webサイト改善に実際に活かせる回答が得られるかどうかは設問設計にかかっています。
特に、対話型でないオンラインユーザーテストやアンケートでは、質問を重ねていくことができませんので、テストの設計が非常に重要です。最終的に確かめたい事を念頭において、以下のような流れで「何を」「誰に」「どう」聞くか、をしっかり考える事が重要です。

<何を?>

まず、何を聞くか、ということについてですが、質問の目的としては、アクセス解析で特定された課題の中で改善効果が高いと考えられる部分について、その課題の要因(発生個所は具体的にどこなのか、何がそういった状況を招いているのかといった事)をユーザーの意見から探る事です。
ですので、特定のページやフローをユーザーに見ていただいて、単純に分かりにくいところや気づいた点を見つけてもらう、というような調査ではなく、課題の発生原因に迫れるような意見を引き出したいところです。

例として、トランクルームサービスのサイトの例で考えてみましょう。
物件詳細から問い合わせページへの遷移は非常に多いが、その数に対して、問い合わせ自体は非常に少ないという課題があったとします。
この場合、問い合わせフォームに何らかの致命的な欠陥があってユーザーが問い合わせに進まないのでは?もしくは何らかの情報や、何か確かめたいものがあるため問い合わせページに行っているのでは?といったさまざまな仮説が浮かびます。
こういった仮説についてアクセス解析なども行い可能な限り深堀をしていきながら「何を」確かめたいのかを明確にしていきます。

<誰に?>

何を聞きたいのかが、ある程度見えてきたら今度は、「誰に聞くべきか」という事について考えます。ユーザーテストにせよアンケートにせよ、モニターの方を何らかの条件で選定するわけですが、この選定時の条件設定は重要です。

何を聞きたいか、ということにおいて、対象ユーザーとして適切な条件、例えば、調査対象サイトや競合サイトの利用経験有無やサービス利用意向や利用経験の有無、などをテストの目的に応じて細かく考慮した上で選定します。

例えば、先ほどのトランクルームサービスを提供しているサイトの例ですと、以下のようなものになります。

  • 現在、東京23区内でトランクルームの情報をネットで探している方
  • 東京23区内のトランクルーム利用の検討においてネットで情報を収集した経験のある方

テストの目的によっては、スマートフォンユーザーなのか、PCユーザーなのかといった要素も必要でしょう。


逆に「トランクルームを借りている、もしくは検討している人」といった大雑把な絞り込み条件ですと、ネットを使って情報を探した経験の無い人も含まれてしまい、確かめたかった事とギャップが発生してしまうケースもありますので注意が必要です。

<どう?>

最後に、「どう聞くか」という事ですが、質問の仕方によって結果も大きく変わってきますので、十分考慮する必要があります。ポイントとしては、できるだけ普段の感覚や行動と同じものを引き出すこと、もうひとつは設問においての条件設定の仕方です。

ひとつ目の「できるだけ普段の感覚や行動と同じものを引き出す」ということについては、聞き方に工夫をすることが必要です。例えば、以下のような聞き方となります。

  • 普段(以前)はどういった基準で選んでいますか(選びましたか)?
  • いつも使っているサービスで不便に思う事はありますか?
  • そのサービスを利用することになったポイントは何ですか?なぜ使い続けていますか?  

もうひとつの、設問においての条件設定の仕方については、設問設計において設問を具体的にしすぎてしまっても、形式的な回答を引き出すことになってしまいますが、逆に「使ってみてどうですか?」といった大まかな質問の仕方ですと、今度は課題とは少し関係の無いような、単純にそのページを見た際の印象とか、ぱっと見で分かりにくい点などの意見が得られるのみ、というかたちになってしまいますので、バランスよく条件設定をする必要があります。

同様に、「このページで分かりにくいところや使い勝手の悪いところはありますか?」といった、ページ自体にフォーカスしたような質問の仕方の場合、どうしても機能や使い勝手についての一般的で表面的な意見や、情報の過不足に関して揚げ足をとるような意見が多くなってしまいます。

ユーザー体験を引き出すための設問設計

表面的な意見の中に重要なものが含まれていることもありますが、サービス自体に関わるような本質的な意見、ユーザーがそのWebサイトのサービスを選ぶかどうか、といった部分に左右する課題をつきとめられるような設問を設計することが重要です。
例えば、先ほどのトランクルームのサイトの場合ですと、サービス提供会社や物件を選ぶ際、決定する際のポイントは何だと考えている(考えていたか)か、そしてそのポイントに対してこのWebサイトの評価はどうなのかを事を聞き出せるような設問を設計することで、有効な回答を得られやすくなります。

Webサイトの作りを評論家のような目線で評価してもらうのではなく、自分がユーザー(当事者)として探している(いた)ときの体験を引き出すことが重要です。
ユーザーの体験こそが、実際の部分により近いものですので、その調査結果に基づき改善施策を実施していくことで、成果につながりやすくなります。

まとめ

  • 改善につながる意見を引き出すために「何を」「誰に」「どう」聞くかについて十分に考えて調査設計を行う
  • 何を、については、課題の発生原因をつきとめることを聞く
  • 誰に、については、テストの目的に応じて細かく考える
  • どう、については、いつもの感覚や行動と同じものを聞き出せるような聞き方を心がける
  • ユーザーの体験を引き出すための設問設計が重要