アクセス解析で「改善すべき箇所」を特定
アクセス解析はWebサイトの課題箇所を特定するためには適した手法です。
しかし、単純に基本的な指標だけを見ていっても、改善すべき箇所はなかなか見えてきません。改善すべき個所をうまく発見するためには、Webサイトの目標や、想定されるユーザーのサイト内行動に対して、様々なディメンション、セグメントごとに数値を見て行くことが必要です。
例えば、以下のような見方となります。
- 新規訪問ユーザーと、複数回訪問ユーザーの目標達成の度合い。
- 流入経路、注入キーワードごとの目標達成度合い。
- どんな情報を見ている人がサイトに繰り返し訪問しているか。
- デバイスごとの閲覧ページの違いや、目標達成度の違い。
どういった見方をしていけば良いか、という点ですが、まずはWebサイトをよく見て大まかな疑問を持った上で、それを確かめる方法を考えていくと良いと思います。
例えば、先ほど挙げたセグメントについても、以下のような大まかな疑問に対してのセグメントの例になります。
- このWebサイトで、どんな情報をどのぐらい見てユーザーは申込みに進むのだろう?
- どんな事をどのぐらいの意欲を持って、Webサイトに訪問しているのだろう?
- 申込みにあたって、最終的に迷っているポイントはどのあたりになるのだろう?
- スマートフォンで検討して、PCで申し込む人がいるのではないか?
このように、単純にいろいろと数値を並べてそれを見ながら課題を発見していくのではなく、大まかな疑問に対して数値を見ていくことで課題発生箇所を発見しやすくなります。
アクセス解析の結果は改善施策立案には直接的には結びつけにくい
見えてきた課題箇所に対して改善施策を考えていきたいところですが、アクセス解析の分析結果には「どう改善すべきか」という事につながる情報はそれほど多くありません。
例えば、あるキーワードで流入した人の離脱率や定着率の数値が良くない場合、何かしらのギャップが生じているということが考えられますが、実際にどういった問題があるのか、という事については、キーワードやランディングページなどから推測していくほかありません。
例えば、ユーザーが求めていたものがそのWebサイトでは扱っていないと勘違いされてしまい再訪しないのでは、などといった事は推測はできますが、それが何か、なぜなのか、は分かりません。
「どう改善するか」を知るためには、数値の「要因」を探ることが鍵
では、数値の要因を知るにはどうすれば良いのでしょうか?
ユーザーテストやアンケートから探ることが有効です。
ユーザーテストやアンケートでユーザーの心理状態や行動を調査し、これらを分析することにより、課題の原因となっているものを探っていく方法が有効です。
例えば、アクセス解析の数値で「詳細ページからお申込みページへの遷移率は非常に高いが入力ページまで進む率が非常に低い」という状況が分かっている場合、ユーザーテストにより、その原因を探ることが可能です。
さらには、サイト内アンケートツールを利用することで、特定のキーワードで流入したユーザーや、特定の行動を繰り返し行っているユーザーといった、アクセス解析で設定したセグメントに近いユーザーに対し調査を行うことで、アクセス解析で得られた数値上の課題に対する原因を調査することも可能です。
こういった調査や分析を行いユーザーの行動原因を明らかにしていくことで、「ボタンを大きくしよう、申し込み無料という文言を目立たせよう」といった一般論的なアプローチではなく、ユーザーが申し込みに進まない本当の要因に対して、施策を打つことができるようになるため、施策の確度も上がります。
また、ユーザーの行動原因に対して施策を打つことで、次にお話しする改善施策実施後の評価もしやすくなります。
施策実施後の評価は、目標に対しての評価を
施策実施後、どの程度の改善につながったか、を評価することは極めて重要です。
Webサイトの何かしらの目標達成のための改善ですので、数値に効果が現れなくては改善とは言えなくなってしまいます。評価の仕方としても、改善個所の評価とあわせて、Webサイトの大きな目標に対してどういった影響があったのかを見ていく必要があります。
もちろんサイトの使い勝手が良くなったり、ひとつひとつが分かりやすくなっていくこと自体は良い事と言えますが、Webサイトの戦略のにおいて目標数値が上がるという事が最も優先すべきゴールとなります。
まとめ
- アクセス解析で「改善すべき箇所」をうまく抽出するには、サイトに対し大まかな疑問を持ったうえで、様々な見方をする。
- アクセス解析の結果だけでは、どう改善するべきかという事は見えにくい。
- どう改善するか、については実際のユーザーから探ることで改善施策が見えてくる。
- 改善施策実施後は再度アクセス解析で評価する。改善個所の評価とサイトの大きな目標に対する評価も行う。