こんにちは!ヒカリナ学生インターンの町山です。
海外金融アプリのサービスやUIについて感じたことをシリーズ化して発信しています。
第2回目の今回は、ロボアドの先駆者「Betterment」をご紹介します。
ロボアドから銀行サービスまで
Betterment(ベタメント)は、2008年にロボアドバイザーを世界で初めて開発・実用化しました。
「A better way to save, A better way to invest(より良い貯金とより良い投資)」というコンセプトのもと、株、債券、暗号資産への投資とロボアドバイザーを提供しており、さらに、預金口座やデビットカードなどの銀行業にも参入しています。
低コストで始められるロボアドバイザー
注目したいのは、主軸であるロボアドバイザーです。
Bettermentでは、投資の目的とリスクの許容範囲に合わせてロボットアドバイザーが最適なポートフォリオを提案してくれます。
投資を始めた後もポートフォリオのリバランスや配当金の再投資、自動入金を自動で行ってくれるので、簡単に投資できます。
豊富な投資の種類も特徴的
Bettermentで投資を始める際は、ユーザーは自身の投資の目的とリスクの許容範囲に合わせてポートフォリオを選びます。
その選択肢の多さもBettermentの特徴と言えます。
目的に関する選択肢には、口座の種類とポートフォリオの種類の2つがあります。
口座の種類は、Retirement(退職後の生活に向けた投資口座)や、Safety net(予期せぬ出費に備えるための投資口座)などがあります。
Retirementでは、拠出金額分を現在の所得から控除できる「トラディショナル」、税引き後の資金を運用し引き出し後は非課税となる「ロス」、個人事業主用の「SEP」の3種類のIRAを提供しています。
ユーザーはこの中から適したものを選んで投資することになりますが、アプリ内でトラディショナルIRAからロスIRAへ変更することも可能です。
Safety netは、予期せぬ出費に備えるための投資口座です。
アロケーションは株が30%、債券が70%で構成されており、リスクが低く抑えられていることが特徴です。
ポートフォリオの種類(Portfolio Srategy)には、長期の分散投資向けのポートフォリオ(Core)、ESG企業やメタバースへの投資に特化したポートフォリオなど、ユーザーの様々な投資体験が提供されています。
4つの料金プランと専門家と相談ができるオプショナルプラン
Bettermentの料金プランには、
- Cash Reserveプラン:金利4.50%の預金口座が開設できる(無料)
- Checkingプラン:デビットカードとデビットカード用の口座(無料)
- Investingプラン:一般的な投資やIRAなど暗号資産以外の投資(月額$4または口座残高の0.25%/年)
- Cryptoプラン:暗号資産への投資(口座残高の1%/年)
の無料プランと有料プランそれぞれ2種類、計4種類が用意されています。
投資をするには、有料プランのいずれかに加入する必要があります。
また、残高が$10万以上あるInvestingプランまたはCryptoプランユーザーは、追加料金(口座残高の0.15%/年)を支払うと「Premium」プランに加入することができます。
このプランでは、資産運用のプロから投資についてのアドバイスを無制限に受けることができます。
ロボアドは初心者にも最適な手軽さが魅力ですが、ロボアドだけでは物足りない本格派の投資ユーザーに訴求力がありそうなプランですね。
BettermentのアプリUI
ここからは、アプリのUIについて紹介します。
こちらのサイトにあるアプリ画面を見ると、柔らかな色合いやイラストで温かな印象を受けます。
また、ハンバーガーメニューを採用しており、ページ下部のタブバーがないため、画面を広く使えていますね。
では、主要な画面を詳しく見ていきます。
Home画面 : 評価額と予測が一度にわかる
まず、Home画面です(アプリ画面はこちらのサイトを参照ください)。
この画面では、各証券口座毎の評価額をまとめて確認できます。
RetirementやSafety netなどの口座がリストになっていて、すっきりと見やすいですね。
特徴的なのは、現在の評価額だけでなく目標が達成できそうかの予測も確認できることです。
達成できそうなら口座名の下に「On track(順調)」、難しそうなら「Off track(軌道に乗っていない)」と表示されます。
また、画面上部には「Good morning, ~~(ユーザー名)」などあいさつが表示され、あたたかで人間味のある印象を与えます。
ポートフォリオの詳細画面 : グラフでポートフォリオの情報を可視化
各口座の運用状況の詳細は、Home画面にあるポートフォリオ名をタップすることで見られます
(アプリ画面は、こちらのレビュー動画を参照ください)。
タップ後に遷移する画面では、評価額の予測推移やポートフォリオの構成、リスクを見ることができます
(アプリ画面は、こちらのレビュー動画を参照ください)。
予測推移は線グラフで、ポートフォリオの構成は円グラフで示されており視覚的にわかりやすい仕様です。
国内ではこれまでの運用実績を線グラフで表すサービスが多い印象ですが、Bettermentでは予測のみを示しており、よりユーザーのモチベーションが上がるデザインだと感じました。
その下には、ポートフォリオの種類である「Portfolio Strategy」や「Overall risk」が表示されていますね。
「Overall risk」は、ポートフォリオの現時点でのリスクを示しています。
ご紹介した動画の画面では、Bettermentが推奨する水準(Recommended)となっていますが、これを上回ると「Too aggressive(過度に積極的)」、下回ると「Very conservative(とても保守的)」と表示され、リスクの程度がわかりやすくなっています。
まとめ
今回は、ロボアドの先駆者「Betterment」のサービスとアプリUIについてご紹介しました。
注目したいポイントは、
- 各ポートフォリオの運用状況と予測がすぐにわかるHome画面
- やわらかな色味やイラスト、メッセージなど、あたたかで人間味のあるデザイン
の2つです。
無機質なイメージがあったロボアドですが、Bettermentのデザインやユーザビリティからは「A better way to save, A better way to invest(より良い貯金とより良い投資)」というユーザーへの思いを感じます。