投資信託運用会社のWebサイトは、商品選びの際の情報収集だけでなく、購入後に基準価額や運用状況を確認する場としても利用されます。
そのため、各ファンドの基準価額・運用状況をはじめ、責任投資活動への取り組みや市場環境の解説など掲載すべき情報の種類・量も多く、サイト全体でも各ページ単位でも、情報の整理と見せ方が使いやすさを左右します。また、運用状況を定期的に確認したり、複数のファンドを調べ吟味したりといった利用が前提となるため、こうした利用文脈を想定した機能・導線設計も欠かせません。
今回は、そうした観点から「Gomez投信運用会社サイトランキング2025」でトップ5にランクインした5社を対象に、特に工夫が見られたポイントをレビューします。
アセットマネジメントOne
まずは、Gomezのランキングで1位にランクインしたアセットマネジメントOneから見ていきましょう。アセットマネジメントOneのWebサイトは、明快な情報構成や導線設計に加え、高いアクセシビリティ、説明責任を意識した情報開示などが評価されています。
今回着目したのは、「最近見たファンド一覧」ページを設けている点です。このページを独立して設けることで、気になるファンドの情報をすぐに確認できるという利便性が生まれています。お気に入りファンドページも類似の役割を果たしますが、最近見たファンド一覧はお気に入り登録をしなくても良いため、より手軽に再チェックできます。
特定のファンドを繰り返し確認するような、継続的な利用文脈を想定した設計です。
野村アセットマネジメント
次に、Gomezのランキングで2位にランクインした野村アセットマネジメントを見ていきましょう。野村アセットマネジメントのWebサイトは、豊富な情報量とわかりやすい情報構成・導線設計の両立が評価されています。
今回着目したのは、トップページのセカンドビューにお気に入りファンドのリストを配置している点です。リストの項目には月次レポートへの導線も設けられており、ユーザーはお気に入り登録したファンドの最新レポートに素早くアクセスできます。
ユーザーがお気に入りファンドの情報を定期的にチェックすることが考慮されており、継続的な利用に便利な設計になっています。
三菱UFJアセットマネジメント
次に、Gomezのランキングで3位にランクインした三菱UFJアセットマネジメントを見ていきましょう。三菱UFJアセットマネジメントのWebサイトは、わかりやすい情報構成やシミュレーションツールなどの実用的な機能、サイトパフォーマンスなどが評価されています。
今回着目したのは、ファンド詳細ページのチャート内に任意期間の騰落率が表示される点です。騰落率は通常、前日・1ヵ月前・1年前などの固定期間を表形式で示すことが多く、チャートとは別に確認する必要があります。一方、三菱UFJアセットマネジメントでは騰落率がチャート内に表示されるため、チャートを操作しながらその期間の騰落率をその場で確認でき、表とチャートを行き来する手間がありません。
視覚的なトレンドと定量的な変化を同時に把握できる、認知負荷の低い設計です。
大和アセットマネジメント
次に、Gomezのランキングで4位にランクインした大和アセットマネジメントを見ていきましょう。
今回着目したのは、ファンド検索(基準価額一覧)ページの表です。基準価額や純資産総額などの数値は、見出し行にのみ単位を記載し、セルには数字だけを並べるのが一般的です。一方、大和アセットマネジメントでは「9,936円」「55億円」のように各セルに単位が添えられており、見出しを見返さなくても数字の意味をその場で把握できます。他に、スクロール時も見出し行を固定表示したり、一定行ごとに見出し行を表示するといった方法もありますが、視線の移動を最小限にできるのは、単位をセル内に含めるこの方法です。
視線の移動を抑えることができ、特にファンド数の多い一覧表では認知負荷を軽減する設計です。
大和アセットマネジメント ファンド検索(基準価額一覧)ページ
三井住友DSアセットマネジメント
最後に、Gomezのランキングで5位にランクインした三井住友DSアセットマネジメントを見ていきましょう。
今回着目したのは、ファンド詳細ページに設置されたお気に入りファンドページへの導線(ボタン)です。未登録のファンドではお気に入りへの追加ボタンとして機能し、登録済みの場合はお気に入り一覧ページへの導線に即座に切り替わります。これにより、新しくお気に入り登録したファンドと他のお気に入りファンドをスムーズに比較できます。
お気に入り済みのファンドと今見ているファンドを比較したいというユーザー行動への理解が、このボタン設計に反映されていると感じました。
まとめ
今回は、「Gomez投信運用会社サイトランキング2025」でトップ5にランクインした5社のWebサイトを取り上げ、それぞれの工夫を見てきました。
各社のアプローチを振り返ると、大きく二つの観点に分けられます。一つは、継続的に利用するユーザーを想定した機能・導線の設計。もう一つは、認知負荷の軽減に配慮した情報の見せ方です。アプローチは異なりますが、いずれもユーザーの行動文脈とフリクションの低減を起点にした設計という点では共通しています。今回の事例が、サイト改善を検討されている方のヒントになれば幸いです。
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