Webサイト改善の第一歩は、仮説の発見です。仮説を多角的に見ていくことにより、課題化することができます。
この仮説を見つけるためにはいくつか方法がありますが、当社で行っているやり方をあらためてまとめてみたいと思います。

(1)できるだけターゲットになりきって使ってみる

まず一番は、できるだけターゲットユーザーになりきって使ってみることです。この際、申し込みや購入などの何かしらの具体的な目的を達成しようとして使うことがポイントです。実際に申し込むとなると比較サイトなどを見たり競合サイトなども見たりするかと思いますが、そういったかたちで本気で見ていきます。可能であれば実際に申し込んでみたりしてみると良いと思います。

申し込みもしくは申し込む直前まで行ったら、自分の気持ちの動きや行動を振り返って、何か問題となりそうな点がなかったかを考えてみましょう。この際に、あらためてWebサイトを見ながら、先ほどは気に留めなかった部分などもあえて見てみると良いと思います。見落とし的なことに気が付ける可能性もあります。

見方として注意すべき点は、Webサイトの表面的な部分を意識しすぎないという点になります。ボタンが小さくて気が付きにくい、とか、ナビゲーションが分かりにくい、という表面的なところだけではなくて、総額ではどちらが安いのかな、とか、この色は在庫が切れてるが入荷予定はいつだろう、といった目的を達成しようとする上での心の動きに注目すると良いと思います。

ターゲットになりきるためには、できるだけ細かくターゲットを想定する必要がありますが、あらかじめドキュメントにまとめておくとよいと思います。ペルソナを設定しながら、この人は知り合いで言うと誰に近いかな、とか、こういう人は日頃どんな日常を送ってるのかな、などと考えつつ、メモしていくことで設定も細かいものになっていくと思います。
また、先にサイト流入時の検索クエリを見ておくと、サイト利用ユーザーの気持ちが見える場合もありますので見ておくとよいでしょう。

(2)家族・知人、同僚などへのヒアリング

自分の家族や知人、同僚に軽く聞くだけでも、仮説発見のためのヒントは得られます。立ち話程度の会話や隣の席の人に聞いたりというのでも十分かと思います。
サイト自体の話というより、サービスについての話となりますが、こうしたリアルな部分の意見の収集は非常に重要です。ここを手掛かりに考えを深めていくことも良いと思います。

以下のように短いやりとりでも良いと思います。

自分:あのサービスって知ってる?
家族・知人:あれね。前に使おうと思って、いろいろ見てたんだけど、意外と○○だから自分は使わなかったんだよね。
自分:え~。そうなんだ。でも〇〇とかはよさそうだよね。
家族・知人:〇〇は確かにけっこう良かったから迷ったんだけど、ただ、よく考えたら〇〇ができるサービスのほうがよいと思って、別のにしたんだ。

上記の短いやりとりの中でも「意外と○○だから自分は使わなかった。」「〇〇は良い」「他社のサービスの良い部分」などが、分かり、仮説発見の糸口となる可能性があります。

(3)簡易テストの実施(ターゲットに近そうな人に)

特殊なサービスや専門性の高いサービスの場合は、詳しい人に連絡をして、きちんと話を聞くと良いでしょう。実際にサイトを使ってもらったり、自分がふだん使ってるサイトを使ってもらい、会話の中で探っていきます。

こちらの手法についてはあくまでも(2)の手法の延長にあるものですので、そこまで仰々しくやらなくてOKです。
その人の席のところに行って、一緒に画面を見ながら10分程度サイトを見ながら少し話す程度でもいろいろと発見があると思います。
あらかじめ少しサイトを見てもらった上で電話やチャットで会話をするようなかたちも有効です。

Webサイトのことだけではなく、ユーザーのニーズ・価値の大小、普段の利用の仕方などを広めに探るような質問から入り、課題発見につながりそうなところは質問を重ねて行くようなやり方をします。

(4)リモートの簡易ユーザーテストサービスの活用

こちらは有料のサービスとなりますが、リモートでの簡易ユーザーテストにより一般のユーザーの行動や発言を収集することができます。特にポップインサイト社のユーザーテストExpressであれば、調査項目作成する手間もなく、驚くほどすぐに調査を開始できて、調査結果も2、3日もあればあがってきます。料金体系的にもさっと利用しやすいものとなっています。

調査対象のサービスにもよりますが、良い意見も収集できる場合もあるので、使ってみるのも手です。ぱっと良い結果が得られれば、プロジェクトの初期の段階からクライアントと意識をあわせていくこともできるため有効です。

(5)競合サイト/サービスと細かく比べる

次の手法は、競合サイトの機能やコンテンツ、フロー、サイト構造などをひとつひとつ比べていくことです。

自社サイトと競合サイトを画面上で横に並べて細かく比較します。
何をどこで説明しているのか、どんな表現になっているか、どこでどんな選択をさせているのか、といったかたちで分解して見ていきながら、それに対する良し悪しの評価なども考えながら見ていくと良いでしょう。

何らかの検索結果一覧ページであれば、絞り込み導線の表現や位置、絞り込み機能の配置や見せ方、表示項目の違い、写真の見せ方や質、デバイスごとの見せ方、などできるだけ細かく意識しながら違いを探していき、その違いについて各社の狙いやユーザーの利用シーンに対しての良し悪しを考えることで、仮説が見えてくる可能性があります。

時間に余裕があればドキュメントとしてまとめておくと、あとあと、その画面の作成段階やクライアントへの説明の際にも活用できますので有効です。

(6)アクセスデータをセグメントごとに見てみる

Googleアナリティクスなどのアクセスデータから仮説発見の方法はいろいろありますが、中でもセグメントをきってデータを見ていくことが仮説発見の糸口がみつかりやすいと思います。

例えば、Webサイトで設定した目標の達成ユーザーと非達成ユーザーのセグメントごとに、行動や閲覧状況の差異を見ていく、といった方法です。もし、差異があれば、それがどういった理由からなのかを考えてみて、思い当たる何かがあればそれが仮説発見につながります。

また、流入時のキーワードやサイト内検索での検索ワードを見ることで、ユーザーがサイトを利用する際の気持ちが見えてきます。その検索クエリを頭に入れた上で着地ページを辿り、サイトを見ていくことで、仮設発見のヒントが得られる可能性があります。

(7)社内(サービス提供会社)に蓄積している情報の活用

お問い合わせとして寄せられている内容からも仮説発見のヒントが得られる可能性はあります。問い合わせ内容は具体的な内容が多いので、問い合わせ内容部分の課題はダイレクトに見えますが、それに加えて、ユーザーが日頃どんな利用の仕方をしているのかな、どんな情報を気にしてるのかな、と全体感をつかむような感じで見ると良いと思います。

あるいは、営業担当、コールセンターなど、お客様と接している部署の人から話を聞くことも非常に有効です。

Webサイトの事に限らずサービス全般について細かく聞くと良いでしょう。例えば営業サイドとしてはどういった人からの問い合わせがウェルカムなのか、とか、商品部門側の考え方や目標といった部分なども聞いておくことで、本質的な課題の発見に結びつきます。
ここまでくると、Webサイトの課題発見というよりもサービス自体やオペレーションの課題も関わってきますが、それはまた別のアプローチの話となりますので割愛します。

まとめ

上記のようなことを行うことで、いろいろな仮説が見つかりますが、いくつか仮説が見つかったら、仮説リストをつくり、調査手法ごとの結果や、仮説と仮説の関係や親子関係を多角的に考えながら、課題を特定していくというやり方がよいと思います。