全面リニューアルは、Webサイト改善の視点から考えた場合、改善にはつながりにくいと言われることがあります。
確かに、大規模なリニューアルになればなるほど、目的が様々になりますので改善に対しての意識も希薄になることが多いように思われますが、いかに改善につなげていくかということについて考えてみたいと思います。

全面リニューアルプロジェクトが陥りやすい状況

まず、全面リニューアルのプロジェクトにおいて、すべてをゼロから見直して、かつ新しい施策もいろいろと実施する、といったかたちのリニューアルでは以下のようなことが起こりやすいかと思います。

  • 関わる部署や人が多く、議論があちこちになり収拾がつかなくなる
  • 上層部からの期待が大きくなりリニューアルの目的がゆがむ
  • 関係部署との足並みがそろわない
  • 関係部署との議論に時間がかかってしまい、仕様の確定が遅れ開発が間に合わなくなる
  • やるべきことに見合ったスケジュールが確保できない
  • 改修範囲やタスクが増え続ける

 

こうしたことが起きてしまうと、プロジェクトの途中で迷走が始まり次第に収拾がつかなくなり、プロジェクト管理者も調整に追われてしまい、リニューアルの目的も「スケジュール内にそれなりのかたちでリリースすること」といったものにすり変わってしまうということが起こりがちです。

制作会社が提示するワークフローをもとにきちんとプロジェクトが進んで行けばこういったことも起こらないのかもしれませんが、リニューアルのスケールが大きくなればなるほど、上記のようなことが起きやすいかと思います。

また、規模の問題とは別に、目的や範囲があいまいな場合も、様々な検討ごとや調整ごとに時間を費やすくことになり、最終的には予算の範囲の中でスケジュール内に無事にリニューアルすることが目的となりがちです。
目的があいまいですと、プロジェクトが進むにつれ、どうしてもあれもこれもとなってしまいますので、調整事が増え、全体として時間が無くなってしまうのです。
このような状況に陥ってしまった場合は、言うまでもありませんが、せっかくリニューアルをしても成果が出にくいばかりか、新たな問題まで生まれてしまう可能性もあります。

そして、これらの根本的な原因としては、目的、目標が明確でないために成果が出ないということかと思います。

改善効果の高い全面リニューアルプロジェクトにするための考え方

では、こういったことに陥らずに、改善効果の高いリニューアルプロジェクトにするためにはどうすれば良いでしょうか。
そのためには、以下のような考え方とやり方が有効かと思います。

  • 現状のサイトをいったん壊してゼロから考え直すのではなく、現サイトの課題改善を主目的とする
  • リニューアルの目的を改善率の高そうな重要施策のみに絞る
  • 一度にすべてを行うのではなく、計画を持って段階的、継続的に行う

 

ゼロから考え直すのではなく、課題や戦略などを整理し優先順位をつけた上で下記のようなテーマに絞る、もしくはこれらをフェーズを分けて実施する計画とし、それ以外の部分については、無理に改修を検討せず現状維持としたほうが良いでしょう。

  • ユーザーシナリオとのギャップ補正
  • 重要コンテンツの内容の見直しや拡充
  • 訴求ポイントの改修
  • 検索機能含めた検索導線と詳細ページの改修
  • 重要コンテンツの回遊性向上

 

ただし、全面リニューアルということですので、見た目のデザインが変わっていないとリニューアルしたとは言いにくくなってしまいますので、デザインの改修だけは同時に行うことは必須でしょう。
仮に想定ターゲットとのギャップや、何かしら課題があるようであれば積極的に改善を行えば良いと思いますし、また、回遊を向上したいという目的があるのでしたら、ナビゲーションのデザイン改修を行いABテストを行うことは有効かと思いますし、こういったことができる良いタイミングとなるかもしれません。
このリニューアルのタイミングで、日ごろの改修では行いにくい広範囲のものや、デザインの改修を伴うものなどを行えば良いと思います。

こういった、目的を限定したやり方が社内的に全面リニューアルと言えるかどうかは、社内からの見え方や、説明の仕方によるかもしれませんが、改善という点においては成果が出る可能性は上がります。

改善効果の高い全面リニューアルプロジェクトにするために準備しておくべきこと

そして、このようなかたちで改善を目的としたリニューアルプロジェクトに持っていくためには、日ごろからやっておくべきことがあります。
それは、日ごろからPDCAのサイクルを根付かせておくことです。PDCAサイクルの中で、課題や目標が常に明確になっていることが重要です。全面リニューアルと言う話が上がったときに、すぐさま現状のサイトの状況や課題、優先して対処すべき事項などを示し、リニューアルにおいても改善を目的としたリニューアルプロジェクトの方向で話が進むように舵を切ってしまう必要があるためです。

あらかじめ情報が整理できていないと、どうしても後手にまわるかたちになりますので、社内の様々な声に押し流されてしまいがちです。
そのために、日ごろから各種調査を行い課題を明確にし改善サイクルをまわしていることが必要です。

また、リニューアルが決まってから、上流工程に強い制作会社やコンサルティング会社を使い、各種調査や課題整理、戦略設定などという手順で進めていくということも考えられますが、業者・担当者によって手法やレベルにばらつきがありますので選定が難しく、リスクもあります。 時間をかけたわりには、すでに分かっているような課題や、大きな方向性を示すアウトプットしか得られず、改善につながらない可能性もありますので、そういった意味でも、日ごろから自分たちで課題をきちんと分析、整理し、成長サイクルをまわしていることが重要となります。

まとめ

Web改善について、全面リニューアルを実施するという前提で考えてみましたが、リニューアルも日ごろの改善サイクルの延長にあると考えて、大きな課題の何か所かを同時に改善しつつ、デザインの改修もあわせて行うという考え方のほうが良いプロジェクトになる可能性が高まると思います。