Webサイトの改善効果を上げるためには、ターゲットを整理して、そのターゲットに向けて改善していくことが重要です。
しかし、実際にWeb改善業務を担当させていただいておりますと、サービスの特長やその想定ターゲットと、実際のユーザー層とがずれておりWebサイトのメッセージやデザインがちぐはぐになっているケースが多くあります。
Webサイトを立ち上げる際に考えていたサービスと変化したためにずれているケースもあれば、Webサイトがそもそもターゲットに向けたものになっていなかった、など理由は様々です。
今回は、それらの整理の仕方、Webサイトを運用していく上でのターゲットの整理の仕方について書いてみたいと思います。

ターゲットを考える際の3つの視点

ターゲット、と言っても性別や年齢などのデモグラフィックな属性の話ではなく、サービス検討時に持っていたニーズや価値観、サイトを利用し続けてくれている動機といった観点でのユーザーの分類となります。
ターゲットを考える際には、以下の3つの視点で考える必要があるかと思います。

  • 1, 自社サイト、サービスが獲得を目指しているターゲット:自社の戦略や商品の特性にあったターゲット
  • 2, 自社サイト、サービスに貢献してくれているターゲット:アクセスデータや購入データ、サイト内アンケートなどから把握
  • 3, 市場に存在しているターゲット:ユーザー行動観察やモニターアンケートなどから把握

 

1についてですが、そもそもの自社の商品やサービスは、あるターゲット層に向けたものであるはずですので、それを明確にすることが重要です。
経営戦略・営業戦略的に考えた場合に、狙っていくべき層でもありますし、本来的にはこの層に向けた改善であるべきです。

2については、自社サイト、サービスに実際に貢献してくれているユーザー層です。
知る方法としては、購入データ、購入者や成約者へのアンケートなどから探ります。

また、上記のようなデータが無い場合は、以下のようなアクセス解析やウェブサイトに蓄積されるデータからもヒントを得られるかもしれません。

  • お申し込みや問い合わせ内容
  • サイト内のアンケート
  • 流入ワード、流入経路、目標達成したユーザーとそうでないユーザーの閲覧コンテンツの違い
  • サイト内検索のキーワード
  • 初回訪問時に見たコンテンツ
  • 閲覧頻度の高いFAQの設問

 

そして、サイト改善を考える際に、上記の1と2が合致していれば、そのターゲットを十分意識した上で改善を行っていけば良いと思います。
もしも、1と2にずれがある場合は、なぜずれてしまっているのかの原因を考えてみることが必要です。

Webサイトのメッセージとターゲットがずれている場合の考え方

Webサイトの印象や内容が自社の戦略や商品特性とずれてしまっていたり的確に表現できていない場合、本来の狙いとは違うユーザーが入り込み獲得効率は悪いものの、サイト内での成績としてはそのユーザー層が一番となっている、といったことも考えられます。

具体的な例で見てみましょう。
とあるトランクルームのサービスの会社で、成約時にアンケートをとったところ、サービス検討時には以下のような視点でサービスを検討していたことが分かりました。
上から多い順となっていますが、aが特に多い状況でした。

  • a)たいしたものを保管しないので、価格ができるだけ安いほうがよい
  • b)アクセスが良いところ
  • c)一時的に預かってくれるところ(即日、短期というニーズ)
  • d)出し入れの時が気になるので、キレイで安心なところ(主に女性)
  • e)会社がしっかりしてそうなところ

 

こちらの会社のサービスの特長は、格安サービスには及ばないものの、設備や立地の質は下げずに価格はできるだけ抑えるというものでしたので、これらa~eのいずれにも該当しません。
ユーザーの初期ニーズとしては、この会社が狙っているようなサービスを、顕在的に求めているターゲットは存在していないということが分かりました。

さらに、なぜaのような動機をもった人が顧客化しやすい状況になっているのか?ということを調査したところ、現状のサイトが、サービスの特長を訴求しきれておらず、比較的aのユーザーに親和性の高いイメージとなっており、その中で、格安店より価格は少々高いが、これぐらい設備がしっかりしてるほうが確かによいな、と考えが変わったユーザーを獲得できているのでは、という仮説が浮かび上がってきました。

ということで、ずれはあるものの獲得パターンができてしまっている状況なわけですが、ここで本来のターゲットに向けた訴求に切り替えていくべきかは、判断が必要なところです。
本来のターゲットに向けた打ち出し方に変更したところ、aのユーザーが初期の段階で、自分にはあっていない、と判断してしまう可能性も考えられます。
自社の強みを、検討段階で求めているユーザーがどの程度存在するのか、あるいは刺さりやすいものかどうかも含めて、検討が必要でしょう。
また、あれもこれもと詰めすぎると、結果的に誰にも伝わらないものにもなりがちですので、注意が必要です。

また、これらの事にも関係しますが、ターゲットに関する3つめの考え方である、市場に存在するターゲットという考え方があります。
自社サイトに存在しない新規ターゲットを獲得したり、売上規模を拡大する必要がある場合においては、マーケット全体を広く調査したうえで、新しく獲得を目指すターゲットの規模やニーズを把握して、戦略を検討する必要があります。
サービス戦略との兼ね合いもありますので、この層が多いからこの層向けに、といった話ではありませんが、存在するターゲットに配慮してメッセージやコンテンツを作成することは非常に重要です。

まとめ

以上のように、ターゲットについて見てきましたが、Webサイト改善を考える際は、これらターゲットのボリュームや、実際のユーザーなどとの兼ね合いを考えながら検討していくと良いでしょう。
まとめると以下のようなかたちになるかと思います。

  • 戦略と実態にギャップが無い場合は、その層に対してしっかりコミュニケーションしていく。
  • 戦略と実態にギャップがある場合は、収益性(貢献度)と戦略(こだわり)のバランスを考え、判断を行う。
  • 売り上げ規模拡大を狙う場合は、市場全体のターゲットボリュームを考えた上で、事業の方向性も含め戦略を新たに練り直していく。

 

ギャップがある場合の、判断の仕方は非常に難しいと思いますが、いくつかのデータソースをもとにしっかりと分析した上で判断を行い、可能であればABテスト的な要素を取り入れた上で本格的な改修を行うとリスクが少ないでしょう。