昨今、コンテンツの重要性が高まっていますが、あわせてコンテンツ自体の価値を評価・分析したいというニーズも高まっているようですので、これまでの案件を通して考えた事などを少し整理してみたいと思います。
コンテンツと言ってもいろいろありますが今回はコラムや記事のようなものが対象となります。
なお、現在、いろいろと試行錯誤中の部分も多くありますのと、また、ケースバイケースなところも多いと感じておりますので、考え方の整理のような内容となっておりますがご容赦ください。

滞在時間の指標で評価する

まず、一般的に思いつくところでは「平均ページ滞在時間」で評価するという考え方があるかと思います。
ただし、平均ページ滞在時間の数値の見方に注意が必要です。

ひとつには、よく言われている事ですが、Googleアナリティクスの場合はデフォルトの設定のままですと、直帰のセッションは滞在時間がゼロ秒とカウントされてしまい、平均滞在時間が押し下げられてしまうため、直帰のセッションをどうとらえるか、という判断も必要となります。直帰はまた別の問題と捉えて、直帰セッション以外で滞在時間を見る事も考えられるでしょう。

あるいは、サイトの性質や運営上、回遊が少ない傾向のあるサイトの場合は、直帰セッションを見る重要性が高くなりますので、その場合は、Javascriptなどを利用しイベントを発生させる事で直帰セッションも計測することも考えられます。

また、ページ内に参照リンクが多い場合、他の記事や別サイトに遷移した後に、再度戻ってきて途中から読みだすことになる可能性もあるわけですが、これをどう評価するかも難しいところです。

例えば、別ウィンドウなどの遷移においてのGoogleアナリティクスの計測の仕組みは、以下のようになるようですが、こういった事も気にする必要があります。

別ウィンドウで遷移した時の「滞在時間」について/TAMテクニカルチーム Tips Note

また、そもそもの話ですが、平均値で見ますと、例えば、平均が5秒だった場合に5秒くらい見る人が一番多いのだな、と思いがちですが、実際は1、2秒の人が大半で、あとは不自然に長い人などがちらちらいるということもあり得ますので、評価の仕方には注意が必要です。

ページのスクロール率、見られている箇所から評価する

スクロール率を評価指標とする考え方もあるかと思います。
ページの下部に行っている人の割合が多いことは、すなわち興味を持って読んだために結果としてページの下部まで行ったという解釈かと思います。
ただ、興味を持ってしっかり読んだのか、あるいは、さーっと下まで行っただけなのかは分かりませんし、読んでどういった感情を持ったかも分かりませんので、別の指標との掛け合わせで評価する必要があるでしょう。

ヒートマップツールでの調査も同様の考え方かと思います。
ヒートマップの場合は、じっくり読まれている箇所や、読み飛ばされてしまっている箇所が分かりますが、それらを別の指標と組み合わせてどう考えていくか、が重要になるかと思います。

記事の満足度をGoogleアナリティクスのデータから推測する

いずれにせよ、上記のような指標による評価の場合は、記事に対するユーザーの評価は分かりませんので、別のかたちでユーザーの満足度や共感の度合いをとらえる事が必要となるかと思います。

Googleアナリティクスのデータでそれらを直接取得することはできませんが、満足や共感の結果としてのユーザーの行動を捕捉する事はできます。
満足したが故に起こりうる行動について仮説を立て、それを計測していくという考え方となります。

例えばあるサイトの何かの記事に満足した場合は、同一セッション内で、類似の記事や同じカテゴリの記事をいくつか見るかもしれませんし、記事(サイト)を気に入ったということであれば、定期的にサイトを訪れることでしょう。
ブランドワードでの流入数の増加も、認知され、ファン化したユーザーの増加を表していると言える場合もあるでしょう。

具体的な例としては、満足したことにより何度も訪れる、という仮説をもとに、訪問回数を軸とした分析を行います。
例えば、「新規ユーザー」「2~3回目の訪問」「4回目以上の訪問」という3つのセグメントを作成し、それぞれの閲覧記事の傾向を見ていきます。
仮に、繰り返し訪問している人が見ているコンテンツが特定できれば、そのコンテンツが満足度の要因となっている可能性が見えてきますので、その部分を分析し、施策を検討していくという進め方ができます。

シェア数で評価する

その他の評価の仕方としては、人にその情報をおすすめしたいかどうか、という視点もあるかと思います。
そういった意味では、ソーシャルメディアでのシェア数なども考えられます。
ただし、シェアをする動機については、満足や共感といったものとは別のところにあることが多いと考えられますので、その点を考慮した上で見る必要があります。

ユーザーから意見や評価を集める

ダイレクトにユーザー、読者の意見を集めるという考え方もあります。

記事全体、サイト全体の満足度を取得するという意味ではネットプロモータースコアも有効かと思いますが、より、個別の記事の評価を行うという点ではサイト内アンケートツールの活用も有効かと思われます。
記事についての評価を、よりダイレクトに集めることができる可能性がありますので、改善施策の検討により役立つデータを得られる可能性があります。

サイト内アンケートについては、アンケートを表示する条件を設定できるものもありますので、例えば複数回訪れた人にアンケートを表示する、といった条件設定が可能ですので、より細かな分析も行えます。

また、Googleアナリティクスで得られた仮説に対して、裏付けをとるために活用する事も有効でしょう。
例えば、各指標においてパフォーマンスの良くない記事があった場合に、その記事に対してユーザーがどういった感覚を持っているのか、といった事を質問することができます。質問結果から何らかの傾向が見えてくれば、改善につなげられる可能性もあります。

まとめ

  • 記事の価値をGoogleアナリティクスの基本指標で評価する場合は、数値の考え方に注意する
  • Googleアナリティクスで評価する別の方法としては、ユーザーが満足したがゆえに起こるであろう行動の仮説を立て、それらを捕捉する方法が考えられる
  • Googleアナリティクスでの評価に加えて、ユーザーからの意見や評価を集める方法もプラスすることで、より適切な評価ができる